一方、リンパ球の一種 ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は体内をパトロールし、がん細胞を見つけ次第その場で破壊して健康を守っています。
たとえば、がんを「波」、免疫力を「防波堤」にたとえてご説明しましょう。
免疫力、つまりNK細胞の活性が高ければがんにはなりません。
NK細胞の活性が高ければがんの波が押し寄せてきても免疫の防波堤を越えず、がんにはなりません。
しかし、NK細胞の活性はストレスや他の病気薬剤の副作用など、さまざまな原因で下がることがあります。
つまり、防波堤がもろくなったり、崩れたりするわけです。
ひとたび、がんの勢いが強くなり、免疫を上回るとがんは体内でどんどん増殖します。
さらに、がんは自分が生き残るため体内の免疫を抑えようとします。
そこでがん細胞と戦えるようNK細胞を活性・増殖化(Amplified)するのがANK自己リンパ球免疫療法(ANK療法)です。
私たちの体の中では、毎日数千個の異常細胞が発生しているといわれています。
それでも臨床的ながんにならないのは、免疫細胞(リンパ球など)が異常細胞を殺傷したり、増殖を抑制したりしているためと考えられています。これが人のもつ「免疫の力」です。
がん細胞に対する高い殺傷性をもち、かつ殺傷するがん細胞の種類を問わないという特徴をもちます。
NK細胞の活性が高いと短時間でがん細胞を殺傷することができます。
T細胞はそのままではがん細胞を殺傷することはできません。
がん細胞を殺傷するためには、敵となるがん細胞について教え込む必要があり、教え込んだがん細胞のみ殺傷します。
(=CTL療法)
NK細胞は、体内のリンパ球数の5~20%存在し、常時体内をパトロールします。
そしてがん細胞を見つけたら、どのような種類のがんであっても、他の細胞からの指令や情報なしに殺傷する能力を持っています。その名のとおり生まれながらの(Natural)殺し屋(Killer)です。
NK細胞は、がんに対して高い殺傷性をもち、最前線で戦う細胞です。
NK細胞は、がんの予防と治療に重要な役割を果たしています。
それは、NK細胞の能力が高い人にはがんが少ないという報告があることからもわかります。
医学が進歩した、といわれますが、がんで亡くなる方は一向に少なくなりません。疾病による死亡原因としては、がんは突出して1位となっています。米国ではここ数年、がん患者の死亡率が下がる傾向にありますが、日本ではがん患者の死亡率が下がりません。
がんの標準治療として、健康保険が適用になり、あるいは、大きな学会が治療効果のエビデンス(証明)がある、と認めているのは殆どが三大療法(外科手術、放射線療法、抗がん剤)の範疇に入るものです。エビデンスの内容ですが、たいていの場合、がんの縮小効果か、延命効果です。初期がんの場合は、外科手術で取り去るなど、完全寛解させることも可能ですが、再発や転移があると標準治療では手に負えなくなります。
発見された時点で既に相当進行した原発性の場合もそうですが、標準治療では、どれだけがんの進行を遅らせるかがポイントとなっていきます。
一方、放射線療法や、化学療法剤(抗がん剤の中で代表的なもの)は、がん細胞と正常細胞を区別することなく、増殖している細胞の遺伝子にダメージを与えます。特に、免疫細胞は一般にがん細胞より増殖が活発で、がんよりも先に打撃を受けてしまいます。
標準治療は、繰り返す内に効果が落ちていく傾向がありますが、副作用は悪化し続けます。もっとも恐ろしいのが、免疫や体力が落ちた上に、医原病としての合併症を頻発することです。
がんの発生原因は諸説ありますが、発生以降については、概ね、イニシエーション(がんの発生)、プロモーション(緩やかな増殖)、プログレッション(急激な増殖)の三段階に分けられるという見方が定着しています。
現代の技術では、1cm以下のがんを見つけることは大変、難しく、数 mm 以下ともなると、殆ど不可能です。がんが発見されるのは、プログレッション段階に入った後のことです。
近年、さまざまな部位のがんにおいて、がん幹細胞の存在が続々、確認されています。がん幹細胞はゆっくりとしか増殖しないため、放射線や化学療法で殺すことは難しく、むしろ半端な刺激をすれば転移を促進することも危惧されています。腫瘍組織が大きくなるには、さまざま機能や役割に分化したがん細胞が必要ですが、これらは、すべて、がん幹細胞から分かれたものと考えられています。分化が進んだがん細胞が自身のコピーを増やすことで腫瘍組織が大きく成長しますが、他の種類のがん細胞には変化しないため、再発や転移の中心にはなりません。がん幹細胞が再発や転移の源になると考えられています。
リンパ球細胞のなかでもがん細胞を殺すのはナチュラルキラー(NK)細胞とキラーT細胞の2種類ですが、他にも両者の中間的な細胞が存在します。
ナチュラルキラー (NK)細胞 |
ナチュラルキラーT (NKT)細胞 |
キラーT (K/T)細胞 |
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常時体をめぐり、がん細胞を見つけ出すと、その場で殺傷することができます。また、どのようながん細胞でも殺傷することが可能です。 |
ナチュラルキラー(NK)細胞と同様にどのようながんでも殺傷しますが、その殺傷力はNK細胞ほどは強くはありません。 |
がん細胞の殺傷力は持っているのですが、ヘルパーT細胞から指令を受けて初めて活動をはじめるという特性があります。そのまま活性化してもがん細胞を殺傷することはできません。殺傷すべきがん細胞を教え込ませれば殺傷できます。 |
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殺傷力 | 増殖力 | サイト カイン 産生 |
殺傷力 | 増殖力 | サイト カイン 産生 |
殺傷力 | 増殖力 | サイト カイン 産生 |
◎ | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | × |
樹状細胞はがん細胞を殺しません。キラーT細胞を教育すると期待されています。
NK-T細胞は、NK細胞よりも増殖させることがはるかに容易なため、キラー細胞の絶対数を確保する目的で、サービスメニューに加えることを検討して参りました。 ところが、殺傷力がNK細胞より格段に劣ること、また、元々体内にごくわずかしか存在しないため、大量に増殖させた場合の未知の副作用が懸念され、慎重に検討を重ねております。 NK-T細胞は喘息を誘導するという文献も発表されました。
γ/δT細胞は、NK細胞に似た性質をもちますが、やはり、殺傷力が弱く、体内に存在する数が少ないため、NK-Tと同様の懸念があります。 リューマチを誘導する、という文献も発表されています。
ご自分のがんと客観的に向き合うこと、それが治療の第一歩です。
これから行う治療について理解できるまで、きちんと医師から説明を受けましたか?
それを踏まえて、その治療による利益(ベネフィット)と害(リスク)を検討しましょう。
また、医師から説明された治療以外にどんな治療法があるのか調べてみましょう。検査結果が判明した段階でANK療法・担当医師と面談することも、治療の選択肢を広げることにつながります。
その治療を行うことのベネフィットとリスクについて、医師から事前に説明を受け、十分納得して治療を選択しましょう。
ANK療法についても、できるだけ手術などの治療前に、ANK療法実施医療機関にご相談ください。
がんは患者様の病状により治療が数ヶ月と、長きにわたることもあります。
また、手術で切除しても、現在の検査には限界があり、がん細胞が全て消えたかどうかは分かりません。それゆえ、治療後の経過観察が必要となり、その期間は5年~10年にもなります。
主治医とは長いお付き合いになりますので、信頼できる医師を選ぶことが大切です。
何しろ命を預けるようなものですから。
しかし、がんが見つかった時点で、一刻も早く治療が必要な場合があります。
主治医を決めるのに時間をかけて治療が遅れたのでは、本末転倒です。
病院(医師)選びは速やかに行ってください。
がんにはまだ特効薬がみつかっていません。また、治ったかどうか診断する方法にも限界があり、厄介な病気です。
保険適用となる手術・放射線・薬物療法も研究と検討がなされ、日々進歩しています。
また、保険適用ではありませんが、免疫細胞療法をはじめ、最新の治療法も注目されています。
新しい治療法を理解し、その可能性に賭けるのであれば、道が開けることもあります。
がんはなんと言っても、見つかった時点で、集学的治療を行い、徹底的にがんを取り去ることがとても大事です。そして、がんを攻略する治療法が多くあれば、それだけ安心です。
ですから、
「自分の病状で」
「どのような治療があるのか(保険適用外でも)」
「どのような治療ができるのか」
治療を安心して受けるために、担当医師以外から意見を聞くことも大切です。
治療に対する情報は主にホームページや「本」「雑誌」「友人・知人」からだと思いますが、全ての情報が正しいわけではありません。皆、それぞれの立場で書かれています。 そのことを踏まえた上で、検討に値するものについては、医師と会い、説明を受け、納得して治療を行いましょう。 医師との相性も含め、セカンド・オピニオンを得ることは大事なことだと思います。
できる治療法が多くあれば、がん治療をより有利に進めることができます。
がんと診断を受けたら、どのような治療が可能か医師に確認しましょう。
標準治療(保険適用)は病状によって制限があり、患者様の希望通りには治療ができないこともあります。
がん治療は着実に進歩しています。他にどのような治療法があるか検討しておきましょう。
例えば手術で取り出されたがん細胞を利用することによって、ANK療法と併用し相乗効果を狙える治療もあります。
ANK療法医師とのご面談の際には、できるだけ詳細な情報をご持参下さい。
手術前であっても、生検(細胞診など)時の情報などがあれば、ANK療法だけでなく、保険適用・適用外も含め、今後の治療を検討するためのより正確な判断材料となります。
手術や化学療法などによって、リンパ球がダメージを受ける前にリンパ球を採取し培養できれば、がん細胞に対してより殺傷性の高いANK細胞を体内に送り込むことができます。
また、すでに標準治療を受けておられても、免疫システムのダメージができるだけ少ない内に、ANK免疫細胞療法の担当医師とご面談されることをお勧めします。